ニューヒューマニズム・フォーラム・ヨコハマ
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上映会

当フォーラムでは、核問題に関する映画の上映会を企画し、行ってきました。

映画「ヒバクシャ~世界の終わりに」上映会

2004年6月2日/於:港南区民文化センター"ひまわりの郷"

開催あいさつ
 本日は、ご多忙のところまたご遠方からもご来場いただき、本当にありがとうございました。私どもが今回この映画上映を企画した一番大きな理由は一人でも多くの方々にあまりまだ知られていない放射能とか核<>に関する汚染を知っていただきたいという理由からです。 今から59年前に広島、長崎に落とされた原爆は、非戦闘員である市民の人を巻き込んだ、人類史上例をみない大量虐殺でありました。しかしその悲惨な真実の姿は、残念ながらアメリカ占領軍のプレスコードすなわち報道官制、報道規制によりまして、7年間封印されてしまいました。これによって世界の反戦、反核、核兵器廃絶の平和運動は完全に閉じ込められてしまった、こういう事実がございます。私どもは、同じように今起きている劣化ウランや核汚染についても真実が伝わっていないのではないか、と感じております。今、イラクやアメリカ、ロシアなど世界のさまざまなところで起こっている出来事は、私どもにまったく無関係のように思えますけれども、実は、ここにおられる私たち一人一人とつながっているんだ、ということを今日この映画をご覧になって、是非感じとっていただければ大変ありがたいと思います。
鎌仲ひとみ監督インタビュー
Q:この映画をお作りになった動機、きっかけについて聞かせてください。
 1998年ですから、今から6年ほど前にはじめてイラクにいきました。いきさつは、たまたまイラクに薬を運んでいるという女性にあった<>んです。薬を運んでいる理由は、湾岸戦争以降、イラクで白血病やガンになる子供がすごく増えていて、それなのに経済制裁で治療する薬がない。そこで日本でお金を集めて薬を買って運んでいるということでした。その当時はイラクに関する情報があまり日本になくて、そんな話は聞いたこともありませんでした。それがもし本当だったら大変なことですし、誰かに真実を聞くということもできない。ならば、実際に行ってドキュメンタリーを作ろうということをテレビ局のプロデューサーに企画を出し、了承してもらいました。 何も情報がないままにイラクに行ったんですが、その女性が薬を運んでいる病院を訪問すると、そこに戦後あらたに白血病病棟ができていて、たくさんの子供たちが入院していました。そこでは毎日子供たちが死んでいくんです。治療する薬がないまま、死んでいくということは、どういうことなんだろうと思いました。湾岸戦争以前は、イラクにはちゃんとした医療があったんです。戦争で病院も破壊されてしまって、しかも薬もない。本当は治るなずなのに、あるいはできる限りの治療をしてあげたいのにできない。親の立場にしてみれば、無念さはものすごく大きいんですね。子供にしてみれば、自分がどうして死んで行くのかわからないまま、黙って死んでいってしまう。 患者は5歳とか6歳と小さい子が多かったんですが、患者の一人で14歳のラシャという女の子と仲良くなりました。抗生物質もないので、感染症で鼻から出血したりしていました。亡くなる前に、私に「私のことを忘れないで」というメモをくれたんです。日本に帰っても忘れないでという意味で、メモをくれたんですが、その後にあっというまに亡くなってしまいました。私は、どうしてイラクの子供たちは苦しまなければならないのか、何が戦争が終わってもイラクの子供たちを殺しているのだろうと考えなければならなくなりました
Q:この映画で特に感じてほしい、観てほしいことは何でしょうか?
 今イラク戦争は、内戦のような状況になっています。もちろん人間の命が奪われるのが戦争ですが、戦争で何が一番失われるかというと普通の家族の生活なんですね。そこに住んでいる人たちは、戦争で政権をとってやろうとか、石油の利権を奪取しようなどという<>大それたことは何もおもっていなくて、日常が普通に過ぎていくことをただ望んでいるだけなんすね。戦争でなにが悲惨かというと日常がこわされることが悲惨だと私は思うんです。イラクで起きているのは、日常の一瞬一瞬に被爆している。生活の中に、目に見えない微粒子になった劣化ウランが水の中にも土の中にも作物の中にも空気の中にもあって、一瞬一瞬被爆していく。知らず知らずに。もちろんアメリカ軍に家族を皆、殺されてしまったという話も聞きました。ただもっと広い範囲で、日常の生活の中で蝕まれていってしまう。私は、イラクの人たちのただ平和に暮らしたいと願い、日常を生きていきたいという生活が大切で、いとおしいと思いました。だからこの映画は、日常の生活のシーンが多くて、あまりエキセントリックなシーンというのがないんです。アメリカの被爆者も生活をしているわけで、その生活の目線から描いています。その生活を味わうように観て頂ければと思います。
Q:今日来ていただいている方々に監督から一言メッセージをお願いします。
 私も何が起きているか知らなかったので、偉そうなことは言えないんですが、知らないから知らないままで済ますことができた。いろ<>いろ日本でも事件はおきているかも知れないけれども、自分の周りやいま街を歩いていても日本は平和で、豊かですね。でも本当に大変なことが、一見平和に見える私たちのまわりで起きているんだということを知るということがないとものごとは変わらないと思うんですね。いっぺんには変わらないんですけれども、知ることからはじめたらどうかなと思うんです。知ることもすごく勇気がいることだと思います。私たちと同じような人たちが、イラクでもアメリカでも日本でも同じように被爆で苦しんでいる。そこに私たちは共感ができるはずだと思います。共感の力って、知ることから生まれてくるし、そういう人たちともつながっていける。そういうつながりが温かいものを生んで行くのではないかと思って、期待しています。


 
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