21世紀を平和と共生の世紀とすべく、人類の滅亡を防ぐ平和勢力の結集と「人類の生存の力」を強めゆく運動の創造を目的に志を同じくする友と1972年12月2日任意団体『横浜平和運動研究会』を結成しました。
以来、核兵器の廃絶を目指して平和運動を推進する個人や団体とのネットワークを構築し、日常生活の中で核問題、平和問題に関する活動を展開してきました。しかしながら誠に残念なことに、ストックホルム国際平和研究所などの調べによると、地球上には現在2万個近い核兵器が存在し、核兵器の廃絶を訴える被爆者やわれわれの願いはいまだ実現していません。それどころか、インド・パキスタン両国の核保有、米国議会によるCTBT(包括的核実験禁止条約)の批准拒否など、近年は核軍縮の停滞を象徴するような事態ばかりが目に付きます。唯一の被爆国である日本さえ、政治家の間で核保有の道を歩もうとする意見が出ています。
このような核兵器を取り巻く厳しい状況の中でわれわれは核兵器廃絶への行動プランを模索し、その行動の基盤となる思想・哲学を求めて研鑚を続けてきました。この核兵器廃絶という課題には単なる軍縮面にとどまらず、弱肉強食の覇権競争を相互の信頼に基づく人道的競争へと新たな国際関係を構築していく重大な意義がこめられていると考えます。そのためには、NGOのような国家益を超え人類益の実現を目指す団体が発言力を持ち、互いに連携を強めながら、改革に意欲的な政府と共同して新しい国際協調の体制を構築し、国連を強化することが早道と考えます。以上の政策をデザインする中で近年われわれの活動を後押ししてくれるような大きな変化が起こりました。
その一つはIT革命であります。インターネットの普及により、いつでも、どこでも、誰にでも地球規模の平和運動に参加することが可能になりました。また、世界の各地で続いている小さな平和運動をインタ-ネットで反核ネットワークとしてつなげ、大きな力とすることも可能になりました。二つ目には、平成11年12月に施行された特定非営利活動促進法の成立です。この法律により市民活動を行う団体が資金なしで比較的容易に法人格を取得できるようになりました。
この二つの大きな環境の変化を契機にいよいよ横浜平和運動研究会はさなぎからチョウへと脱皮する時を迎えました。そして何よりも幸運なことに大空へ羽ばたくための力を歴史の淘汰に耐え脈々と人類史の底流に流れてきたヒューマニズムの中に見出すことができました。それは、近代の「個人主義的ヒューマニズム」や「社会主義的ヒューマニズム」を超克し、一人の人間の生命は大宇宙と一体の広がりをもち、最高に尊貴なものであるとするコスモロジーに立脚した新たなヒューマニズムであります。このヒューマニズムこそ、人種、民族、宗教、国家等の違いを超えた人間としての共通の基盤と考えます。
このたび、この新しき人間主義を基調に、国際協力と平和の推進を図り生命尊厳の世界の構築に寄与することを目的に、ニューヒューマニズム・フォーラム・ヨコハマを設立いたしました。
高等数学で立証された「バタフライ効果」という理論があります。たった一羽のチョウの羽ばたきが海峡の対岸に嵐を起こすことが可能性としてあるという理論です。一人の運動が世界を変えるかもしれません。
志を同じくする方々とニューヒューマニズム・フォーラム・ヨコハマから「核兵器廃絶」への羽ばたきを力強く開始したいと念願しております。
2001年5月3日
特定非営利活動法人 ニューヒューマニズム・フォーラム・ヨコハマ
設立代表者 桐谷 篤輝